アマ無線千夜一夜物語(第二十六夜) 97/12/05 00:56
皆さん今晩わ。個人レベルの意志の疎通に、この発達した世の中でわざわざアマ チュア無線を選び、気まぐれな電離層に一喜一憂し、数百万単位の金を投資し、マ イクを持てばいいのによりによって、亀より遅いボーレートの通信手段を選んだの がこのフォーラムの電信マンたちだ。さらに、エレキーやキーボードを使えば楽に 通信出来るのに、縦ぶれ電鍵でトンコツやっている。
縦ぶれ電鍵の打鍵の方法は、大きく分けて按下式(圧下式?)と反動式の2種類があ り、PXBの方法は反動式だった。反動式の利点は、一般に;
1) 高速の打鍵に有利
2) 疲れにくい
などの特徴をもち、これは事実をもって検証された。これは、さらに本フォーラム の田頭さんによって、過去電信を職業とする人の間で、一般的な打ち方であること が解明された。本だけの知識ではなく、その現場にいた人の証言は貴重だった。
こうした、技術は今後どんどん廃れていくと思われる。いろいろな記事や広告で、 もはやアマチュアのみに残された通信手段......と書かれているが、書いた本人に 実際あなたはどの程度できるの?縦ぶれはどの程度打てるの?と疑問を投げかけれ ばその回答は、なんとなく心許ないような気がしている。なぜかと言えば、実際バ ンドをワッチしても、縦ぶれの比率は少ないし、ましてや、縦ぶれによる聞いて心 地よい正確な符号は聞く機会が少なくなっているように感じる。他のCW送出手段を PXBも使うが、こうしたプリミティブな手段からの符号は温もりがある。
消えかかっている火に対し、今回田頭氏とその義母さんの一連のコメントは、残す に値する重要なコメントと捕らえられた。以下、非常に貴重な反動式の往年及びリ アルタイムの送信術として、田頭さんの報告コピーさせてもらい、第二十六夜とし て本フォーラムの記録に留め、今後縦ぶれに挑戦する人の資料にしたいと思う。
JP1PXBさん、縦振りファンの皆さん、こんにちは。
というわけで、早速、PXBさんの「千夜一夜第五話」で書かれていた縦振りの打ち方 について、うちの義母(元電信員)にコメントを貰いました。文字だけ見せてコメン トを貰うというのもなんでしたので、実際に打ちながら、一つ一つの項目について 確認して貰いました。では、始めます..... (注:感想は田頭氏感想)
1)手首の上側の位置がノブの頂点とほぼ同じ位置。つまり手首の位置がだいぶ下が る。-----(PXB)
義母:「え?どれどれ..(と言って打ちはじめる)...ああ、確かにそうなっ てるわ」
感想: 実際に横からみると随分手首が下がっている事がわかります。手 の甲の角度は30度くらいになります。
2) 短点の送出は、人差し指、薬指の第一関節より前の筋肉を使う。それ以外の筋肉 は関与しない。高速送信が出来るかどうかの分かれ目で非常に重要。-----(PXB)
義母:「指先は使わないのよね。手首を使えって教わったもの....(コツコ ツコツ..と打ちながら)まぁ、そういわれると手首から指先までが ちょっと緊張してるけど」
感想: 指の第二間接を支点にして手首が下がる感じの動きをしている。
指にはあまり力が入っているようには見えない。
PXB追記:外から見た動きは田頭氏の感想どうりです。義母さんの指先は使
わないというコメントは、指先が目に見えて動くような積極的な
外見上の動きをしないという意味に取れます。PXBの場合、全体的
に下がった手首は短点と同期して振動しています。
そのとき、人差し指、中指の内在的なパルシブな緊張と手首の目に見えるの振
動との連携した動きがあり、指の第二間接を支点にした動きが見られます。
3)手首を下げた結果、親指は若干(5mm-10mm)くらい前に出る。-----(PXB)
義母:「え?どれどれ...(コツコツコツ....)親指の位置はかわらないわ ね。」
感想: 親指の位置は殆どかわらない。親指の位置はノブの中心の真下あ たりに軽く添えている。
1) 手首の下の位置がノブの頂点とほぼ同じ位置。つまり手首の位置がだいぶ上が る。-----(PXB)
義母:「なになに?....(トトトツート、トトトツー....)あ、ほんとだ。」
感想: 手首とノブの位置関係がピッタリPXBさんの記述通りになっていま した。
2) 長点の送出は、指先から手首までを軽く緊張させ、手首で打つ感覚を持つこと。 (非常に重要)-----(PXB)
義母:「手首で打つのよね。指先は力を入れるなっていうけど.. (トトト ツート..)全体的にちょっと緊張してるわね...」
3)手首を上げた結果、親指は若干(5mm)くらい後ろに下がる。-----(PXB)
義母:「(トトトツート、トトトツー....)え?どうなってる、ほんとだ。 親指は少し後ろにさがってる」
1) 親指の腹は、操作に伴いノブに軽く触れる事がある。決して親指でノブを押さえ 込まないこと。最悪の結果になる。-----(PXB)
義母:「(トトトツート...)にぎっちゃだめなのよね。親指を離しても (こうやって)打てるのよね」
2) 右肘は約90度に曲げている。これは通常の机の高さより10cm位低い位置にキーが 置かれる事を意味する。低い位置を確保すること。-----(PXB)
義母:「ああ、そうかな? ちょっとこのテーブル低いわね。もうちょっと このくらいの高さで(といいながら電鍵を持ち上げる)打つから... うん、たしかにそうなってるわね」
感想: この時打って貰ったテーブルがちょっと低すぎましたね(反省)
3)肘から先はほぼ水平を保つこと。-----(PXB)
義母:「ああ、そうかもしれない。このくらいだから...(といってまた電 鍵を持ち上げる)そうね、水平」
4)指と手のひら全体で、小さめの卵を包み込むような感覚。-----(PXB)
義母:「軽く握るような感じね。」
5)人差し指と中指の先端部は、常にノブに対して垂直。-----(PXB)
義母:「うん、そうかもしれない」
感想: 指の第二間接より前はほとんど動かないで、ノブに対して同じ角 度を保っています。
6)ノブと指先の接触位置は、ノブの奥1/4くらいの位置に乗せる。-----(PXB)
義母:「そうね、前の方に指を乗せるのよ.....」
感想: ノブの奥1/4というより、ノブの先端のラインぎりぎりまで指が来 ている。
PXB追記:自分も最先端に乗せている場合があります。要点はノブの中央に 乗せると、指が手前に滑り落ちることがあるので、ノブの湾曲を 利用して前に乗せそれを防ぎ安定させるということです。
7)汗をかきやすい人は、ノブを布で覆ってもよい。-----(PXB)
義母:「布を被せる人はいなかったけど、しきりに汗を拭いていた人はい たわね」
8)最初は、決して早く打とうとしない。-----(PXB)
義母:「速く打つと手崩れするのよ。なったことない?手が震えて全然打て なくなるのよね」
義母:「それにしても、よくこんなに分析したわねぇ。これ書いたの誰?昔 やってた人?」
感想: あらためて手の動きを観察して、私の打ち方と根本的に違うんだ なという事がよくわかりました。PXBさんの記述とほぼ同じという 感じです。相違といえば、短点を打つ時には親指の位置が変わら なかった事、指を乗せる位置が1/4よりはもう少し前で、ほとんど ノブの先端であった事くらいでしょうか。長点を打つ時の親指の 位置はだいぶ手前にきます。これは発見でした。打つ時の音は 「コツコツ」というよりは「ガツン」といったかなり強い音で、 接点がかなりの速度でぶつかっています。すなわち、振り下ろす 速度がかなり速いという事。バネの強さは私の電鍵で最も強く セッティングした状態で、約350gですが、これだと、余計な時に 接点が閉じてしまって打ちづらいと言っていました。全然軽すぎ ると。
これからちょっと真似をして練習してみようかと思っています が、真似しようとすると、全然打てなくなってしまった私です (^^;;
GUD NITE DE JP1PXB/JA1VJQ